茅野市民館(長野県)にバリアフリー研修をするために行ってきました。この日はゴールデンウィーク最終日ということもあり、新大阪駅は大混雑。私が乗車する予定の新幹線も15分遅れで駅のホームに入ってきました。その影響で乗り継ぎに間に合わず、 名古屋で1時間待つことに。その後も前を走っていた電車に猪がぶつかるというハプニングが起きたりして、結局、予定よりも1時間半遅れて会館に到着しました。
到着後、すぐに市民館の責任者である辻野さんとお会いしました。一般的に、公共ホールの長は「館長」と呼ばれるのですが、ここでは「社長」と呼ばれていました。名刺にも「社長」と書かれています。なんでも、茅野市民館は設置までに市民との話し合いやワークショップが6年間にもおよび、その数はなんと100回を超えていたということです。ようやく建った市民館を運営するために設立されたのが株式会社地域文化創造で、そこの社長が館の全体をみているので「館長」ではなく「社長」と呼ばれているということでした。
辻野さんとのお話はとても盛り上がりました。館の趣旨や目的、役割など、共感させていただけるところがたくさんありました。話を聞いていて「この館は市民が主体となって運営している」と思いました。実際に研修会参加者の7割以上は市民サポーターでした。このバランスはとってもいいと思いました。主体となって運営しているのは市民で、館の職員は専門家として市民を支える役割に徹しているのです。
研修を実施しても、その知識やスキルは基本的に個人の中に蓄積され、組織にはなかなか蓄積されないのが現状です。せっかく研修を実施しても、職員の移動や離職によって失われるケースは希ではありません。さらに公立文化施設においては、指定管理者制度の導入で管理運営者自身が変わることもあれば、経費削減や指定期間の問題から人材育成に期待するのが困難なのが現状です。
この知識やスキルを市民に残していくことで地域に残すことができないかと思っています。もちろん、組織に残していくための伝承システムも構築していく必要はあるのですが。