市民サークル「こもれ陽」による音声ガイド付き上映体験会に参加してきました。「こもれ陽」のメンバーの中には、視覚障害(全盲やロービジョン)のある人が所属しています。その人たちが一丸となって音訳づくりに取り組み、当日の進行・運営までを実施します。
ここでは、視覚障害のある来場者を迎えるのは、視覚障害のあるスタッフたちなのです。実際に、この日の受付スタッフの中心メンバーは、視覚障害のある人たちでした。内、一人は盲導犬を伴っていました。
受付オープン前。
配布するアンケートの枚数やクリップペンの本数を確認したり、墨字と点字のアンケートがあることなどを自分たちで確認していました。
いよいよ受付が開始。
さっそく来場者が介助(護)者と一緒にやってきました。来場者は受付の前までやってきましたが、そのまま受付を通り過ぎて行ってしまいました。受付スタッフは自分の前に来場者がやってきたということがわかりにくかったようで、来場者も受付が必要であるということが分かりにくかったようです。
慌てて視覚障害のないスタッフが来場者に声をかけ、受付をお願いしました。それ以降は、来場者が来たら視覚障害のないスタッフが受付スタッフに声をかけ、受付前に来場者が来たことを知らせることにしました。
受付スタッフは積極的に来場者に要望を尋ね、その人に合わせてプログラムを渡したり、クリップペンを貸し出したり、素晴らしい対応をしました。その様子は、見ていてとても自然な感じがしました。
さて、本編です。
今回の上映体験会の音声ガイドを聞いて一番感じたことは、『音訳の言葉選びがうまい!』ということでした。情緒あふれる、端的な言葉は、視覚情報を豊かに想像させてくれました。実際にそう感じたのは私だけではなかったようです。体験会終了後の交流会では、「この映画を劇場に観に行ったけど、その時の音声ガイドよりもわかりやすかった」という意見もあがりました。
後からわかったことですが、この音訳は視覚障害のあるメンバーから意見をもらいながら、何度も変更を繰り返して作り上げたそうです。メンバーの中に視覚障害のある人がいるということはマイナスではなく、とてもプラスだったということです。
来場者にも、運営者にも、制作者にも、すべてに視覚障害のある人が参加している、とても素晴らしい体験会に参加させていただきました。今後の活動が楽しみです。