アドバイザーブログ

音声ガイド付き公演を実施するために

舞台上のできごと以外に伝えることがある

今回は音声ガイドの仕事について少しご紹介します。 兵庫県立ピッコロシアターさんの企画、鑑賞サポート(音声ガイド)付き公演「さらっていってよピーターパン」の館内案内原稿を作成するために音声ガイドスタッフと一緒に兵庫県立尼崎青少年創造劇場に訪れました。

はじめて訪れた場所でも、目の見える方はその施設のトイレや非常口の場所をすぐに見つけることができます。もし、施設の入口から客席までに次回公演のポスターが掲出されていれば、その情報も得ることができ「次の公演も観に行こう」と思うきっかけになるかもしれません。しかし、視覚障害者にとってはサインや掲出物による情報は伝わりにくかったり、全く伝わらなかったりします。

これらの情報は観劇に訪れている方にとって必要な情報です。この情報を視覚障害の方にも伝えるため、視覚障害者の特性と対応方法を理解している音声ガイドスタッフが実際に現場を歩き、自分の目で見て確認しながら館内案内の原稿を作成していきます。

例えば、施設内にトイレが2ヵ所あったとします。1ヶ所は客席から近いけど10段以上の階段を降らなければたどり着けない場所にあります。もう1ヶ所のトイレは少しだけ遠いけど階段を昇降する必要のない平坦な移動でたどり着くことができる場所にあります。音声ガイドでどちらのトイレを案内するのか、あるいは両方案内するのかといったことを事前に決めるため、視覚障害者の気持ちを考えて実際にそれぞれのコースを歩いてみます。さらに、視覚障害者をガイドする運営スタッフのことを考えることも大切になります。手引き経験の少ないスタッフにとっては、階段の昇降を手引きするより平坦な移動を手引きする方が安心です。

こんなことを考え、確認しながら音声ガイドスタッフは館内案内の原稿を作成していくのです。この日は、館内の状況確認のほか、実際に音声ガイドをおこなう場所も確認しました。

音声ガイド付き公演と聞くと、舞台上のことだけに解説がついているとイメージしてしまいます。しかし、実際には公演のあらすじや舞台の風景、登場人物の特徴といった観劇をサポートする前情報を伝えたり、観客にとって必要な施設の情報を伝えることも大切になってくるのです。

音声ガイドの仕事とは、マニュアル化されたことを伝えるのではなく、視覚障害のある来場者にとってその時その場所で必要な情報を伝えることです。そのために自分の目で現場やリハーサルなどを見て確認することが必要になってくるのです。

現地下見をする音声ガイドスタッフ

ピッコロ劇団ファミリー劇場「さらっていってよ ピーターパン」
2015年8月8日(土)11:00  15:00(貸切)  9日(日)11:00 ★ 15:00
※開場は開演の30分前  音声ガイドあり(要事前申込)
ピッコロシアター 大ホール

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