アドバイザーブログ

パラリンピックとアーツ スタディーグループに参加して

パラリンピックとアーツ スタディーグループに参加させていただきました。なにかというと、2020年パラリンピック大会をめぐる課題について調査・研究を進めていくためのアーツ分野の勉強会です。今回は愛知大学文学部の吉野さつき先生とSLOW LABEL(スローレーベル)の栗栖良依さんが講師でした。

吉野先生の話は、2004~2009年に明治安田生命のCSRプログラムとして取り組まれた事業(企画:エイブル・アート・ジャパン)の5年間の挑戦とその活動についてでした。吉野先生の話でとても印象深かったのは「文化芸術振興基本法 基本理念第二条3を考えれば、オリパラなんて関係ない!」という言葉でした。まさにその通りだと思いました。文化芸術振興基本法は平成13年(今から15年前)につくられた法律で、そこにはすでに『国民が等しく文化芸術を鑑賞し、これに参加し、またはこれを創造することができる環境整備を図らなければならない』とされています。2016年4月に障害者差別解消法が施行されたので誰もが鑑賞・参加・創造できる環境づくりに取り組むのではなく、また2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるから環境を整備していくのではない。そもそもやっていなければならなかったことだったということです。

吉野先生の話は
「障害」も様々、「障害」に対する考え方、価値観も様々
「表現」も様々、「表現」に対する考え方、価値観も様々
という言葉で締めくくられました。

栗栖さんの話は「障害者が表現者として活躍できる環境づくり」にはサポートする役割の存在が大切で、ひとつは「アクセスコーディネーター」、もう一つは「アカンパニスト」ということでした。ちょっとカッコいい肩書です。詳しくはSLOW LABELさんのホームページを見ればわかると思いますが、アクセスコーディネーター(Access Coordinator)というのは人や場所に応じてより最適な環境を整えていく役割。アカンパニスト(Accompanist)というのは伴奏者という意味で、一緒に創作体験活動に取り組む役割になります。この役割を担える人材を増やしていくことが必要だと栗栖さんは言っていました。また、栗栖さんは科学技術によるサポートもどんどん取り入れていくという考えを持っていました。

お二人の話はとても刺激的で楽しいものでした。最近いろんなホールを回らせていただいて、ガッカリすることもありましたが(笑)この日は同じ目標に向かって突っ走っている方に会えてとてもうれしかったです。

※文化芸術振興基本法 基本理念第二条
文化芸術の振興に当たっては、文化芸術を創造し、享受することが人々の生まれながらの権利であることにかんがみ、国民がその居住する地域にかかわらず等しく、文化芸術を鑑賞し、これに参加し、又はこれを創造することができるような環境の整備が図られなければならない。

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