アドバイザーブログ

意識の差

先日、貸館事業として京都のホールを利用させていただきました。来年も同イベントをこちらで実施する予定になっていたため、本番前に施設管理者と来年度の会館予約について話をしていました。そこで少し営業させていただく時間をいただけたので、「来年度から障害者差別解消法が施行されますが、法律についてご存知ですか?どのような取り組みを考えておられますか?」という質問をさせていただきました。窓口として話を聞いていただいていた担当者に私たちの取り組みや書籍「インクルーシブシアターを目指して~障害者差別解消法によって劇場はどうかわるか~」の紹介をしていると、奥から大きな声で「ちょっと待て!その話興味がある!」と急ぎ足で近寄ってくる人がいました。このホールの館長でした。

館長は、いち早く障害者差別解消法に対応した取り組みを導入していきたい考えを持っていることを私に教えてくれました。さっそく、本番終わりにでも営業で同じエリアにあるホールのスタッフに話をしてきてくれないかと依頼されました。

館長は障害者差別解消法についてとても意識が高く、関心を持っておられました。その後も館長と話をしていると、12~13年前にお会いしていることが発覚しました。2003年にみやこめっせ京都で開催された「第3回世界水フォーラム」事業でお会いしていたのです。ご縁を感じました。

その日の夕方、武田と2人で営業に行きました。ホールスタッフの方とお話しさせていただいた中で印象に残った言葉は、
①京都府が設備面で改善してくれないと対応は難しい
②車いすの方が入場できるイベントにすでに取り組んでいます
③具体的にリアライズがこれまでにどんなイベントをバリアフリーイベントとして実施してきたのか教えてください
でした。

①の回答では、法律の問題は京都府(行政)の問題であって、対応するのは京都府で私たちはその指示を待つだけです。というように取れました。②③の回答は、「やらなければ!という意識はあるのですが障害者差別解消法そのものを理解していない」と感じました。

車いすの方が来場できるイベントを実施することが障害者差別解消法への対応ではありません。もちろん、車いすの方が来場できるイベントを実施することはいいことです。しかし、法律の根本を理解していないから③のような質問をしてくるのです。「どんなイベントをバリアフリー対応する」ということが問題ではないのです。
多くの会館が同じ考えを持っていると思います。大切なことは法律によって「障害」の概念が変わるということです。

日本の伝統や趣ある京都で、障害のある方々が健常者と同じように文化芸術を楽しむことのできる環境をつくることができれば、それはきっと世界に発信できる日本の「おもてなし」になると思います。

Top