アドバイザーブログ

鑑賞サポートは3つのサポートの総称

文化審議会 文化政策部会芸術ワーキング・グループ 文化芸術推進基本計画に向けた意見(平成29年10月4日)>3.今後5年間で取り組む具体的施策>(3)文化芸術による多様な価値観の形成と地域における包摂的環境の推進>(具体的施策)に以下の文章があります。

オ 国は、障害者の文化芸術活動参加の機会の拡大に向けて、文化芸術の鑑賞等に係るバリアフリー化(日本語字幕、手話通訳、音声ガイド等の情報保障)、創造活動の充実、施設の利用環境の整備を図る取組を推進する。また、文化芸術の力を利用した高齢者、青少年等の社会参画の推進を図る。

参考URL http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/seisaku/15/04/pdf/r1398035_14.pdf

障害のある人の文化芸術活動の参加機会を拡大していくために必要なものは字幕や手話通訳、音声ガイドといった鑑賞サポートの充実である。多くの人がこう考えるのではないでしょうか。では、鑑賞サポートとは何でしょう?手話や字幕、音声ガイドは「情報サポート」です。「情報サポート」=「鑑賞サポート」なのでしょうか。この落とし穴に陥っていませんか?もちろん、情報サポートは鑑賞サポートです。しかし、情報サポートだけではない、ということが私の言いたいことです。

車いすの人は、どの情報サポートが当てはまるのでしょう?知的障害や発達障害のある人は?視覚障害のある人は音声ガイドがあれば劇場で鑑賞するための障壁はなくなるのでしょうか?

鑑賞サポートは「情報サポート」「アクセスサポート」「コミュニケーションサポート」の3つがうまく絡み合って機能しないとダメなのです。これらを総合的・合理的に配慮して、はじめて障害のある人たちも一緒に劇場を利用し、文化芸術による多様な価値観の形成が実現できると思います。

2017年、いろんなところで研修会を実施させていただきました。その内容のほとんどは初級編「はじめにすること」でした。そろそろ次のステップ「実践」につながる研修「企画・制作編」を展開していかなければならないかもしれません。

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